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​​日本の音楽学史を紐解く

東京学芸大学 芸術系教育講座 教授

​​遠藤徹

更新日 2022年10月2日

執筆     遠藤徹 

日本の音楽学の成り立ち

音楽学とは

 音楽学は古今東西のあらゆる音楽を研究対象とする学問です。音楽についての研究全般を広い意味における音楽学と考えると、音楽学の歴史は洋の東西を問わず紀元前に遡る長い歴史を有しているといえます。日本語で思考し記述したもの(以下、本稿ではこれを日本の音楽学とします)に限定しても、一千年を超える歴史があります。

 ちなみに日本語で「音楽」の術語の使用が確認できるのは8世紀で、平安時代には音楽に関する知的な営みがすでになされています。このことは日本の音楽学の成り立ちを考えるにあたって必ず念頭に置いておくべきことですが、今日の日本で行われている学問分野の多くが明治時代以降に西洋の近代の学問の強い影響下に形成されてきたのと同様に、今日の日本の音楽学も直接には明治時代の西洋の学問との邂逅にはじまるといえます。ただし近代日本の音楽学は西洋の音楽学の直輸入に始まったわけではなく(当初は物理学、歴史学、考古学などの影響が強い)、当時の日本が直面する課題に即応する形で始まりました。そして、そこには学校教育の開始が深く関係していました。

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